九州大学応用力学研究所 研究集会2002 公式ホームページ
URL: http://poisson.ms.u-tokyo.ac.jp/~toki/kyushu2002/
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最終更新日:02年10月28日

研 究 集 会
「非線形波動および非線形力学系に関する最近の話題」
のご案内

世話人  時弘哲治,及川正行


題   目 「非線形波動および非線形力学系に関する最近の話題」
研究代表者 時弘哲治(東京大学・大学院数理科学研究科)
日   時 平成14年11月6日(水)−8日(金)
会   場 九州大学筑紫地区共通管理棟3階大会議室


(福岡県春日市春日公園6ー1)
筑紫地区の地図や建物配置については応用力学研究所のホームページ(http://www.riam.kyushu-u.ac.jp/) を御参照ください.
問合せ先 時弘哲治(toki@poisson.ms.u-tokyo.ac.jp)


または、


及川正行(oikawa@riam.kyushu-u.ac.jp)


郵便番号816-8580 福岡県春日市春日公園6ー1
九州大学応用力学研究所
TEL 092-583-7681 (ダイヤルイン)
FAX 092-575-1159



*** 更新情報 ***

10月28日:「講演のタイトル」及び「アブストラクト」の変更

戸田晃一氏 (富山県立大) (アブストラクト

10月25日:「講演のタイトル」及び「アブストラクト」の変更

木村欣司氏 (神戸大) (アブストラクト



*** 特別講演 ***

今回は、特別講演として、

「光ソリトン通信の実用化について」
下浦一宏 (関西電力・総合技術研究所)
アブストラクト

「流体の不安定による擾乱発達の上限値問題」
石岡圭一 (東大・数理科学)
アブストラクト

「離散パンルヴェ方程式の理論: 現状と展望」
梶原健司 (九大・数理)
アブストラクト

の3氏にお願いしました。



*** プログラム ***

プログラムはこちらからダウンロード出来ます。

PDFファイル:program.pdf   PSファイル:program.ps



*** アブストラクト一覧 ***

高階線形常微分方程式のコーシー問題の解の満たす倍角公式

永井 敦,亀高惟倫(大阪大・基礎工)

2M 階定数係数常微分方程式のコーシー問題の解の満たす倍角公式および加法公式について述べる.さらに倍角公式が現れた4階常微分方程式の固有値問題との関連についても述べる予定である.

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異方的複素ギンツブルグ−ランダウ方程式のパルス解

坂口英継(九州大・総合理工)

分散性と増幅減衰を含む非線形光学系を念頭に置いて、波動の進行方向と波面方向で係数の異なる複素ギンツブルグランダウ方程式のパルス解の性質を主に数値計算によって調べた。進行方向とその垂直方向の両方に局在した2次元パルスの存在するパラメータ領域を調べた。また1次元的に局在するパルスの不安定性(ジグザグ不安定および変調不安定)を調べたのでその結果を報告する。

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非線形局在解とパターン形成: 複素Swift-Hohenberg方程式を題材として

丸野健一(九州大・応力研), Adrian Ankiewicz, Nail Akhmediev(Auatralia国立大)

非線形光学・パターン形成の分野などで知られている 複素Swift-Hohenberg方程式の非線形局在解を構成し、それらのパターン形成における役割をのべる。

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ractal soliton scattering and multiparticle effects in SGE and NLSE

Sergey V. Dmitriev(東京大・生産研), 重成 武(電気通信大・ 電気通信)

Integrable nonlinear equations play very important role in many branches of physics. However, they usually describe a roughly idealized systems and consideration of real systems requires taking into account some additional terms. These terms are usually small and play the role ofperturbations, which break the integrability of the system. Recently we have found a new nontrivial effect of perturbation for many-soliton collisions, that is almost radiationless energy exchange between colliding solitons. This effect can lead to fractal soliton scattering and brings many other new physical effects. We discuss this effects for the sine-Gordon equation (SGE) and for the nonlinear Schrodinger equation (NLSE).

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光ソリトン通信の実用化について

下浦一宏(関西電力・総合技術研)

夢の光通信技術「光ソリトン通信」は、依然として実用化されていない。 この要因として、非線形性を利用するため設計が難しいという点があった。 シミュレーションによる解析結果から、「光ソリトン通信」実用化への道を検討する。

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photonic crystal における非線形局在モードと光通信への応用

武野正三(長崎総合科学大), Yuri S. Kivshar (Australia National Univ.),
Panayotis G. Kevrekidis (Univ. of Massachusetts)

現代における情報通信伝達の担い手となっているのは半導体のなかの電子であるが、そこでは結晶格子の周期場により電子のエネルギーバンドが形成されている。同様にして適当な波長の光を周期場のなかにおくとphoton のエネルギー帯が形成され、photonic crystal と呼ばれる。2 次元のphotonic crystal の場合、周期場は光学的に線形な誘電体のなかに非線形の誘電体の棒を周期的に配列して作られ、棒に垂直な方向に光を入射させる。この誘電体の棒には、例えば、GaAs, Si 等($\epsilon_0 \simeq 11.5; \lambda \simeq 1.5\mu m$ )が用いられる。非線形効果は通常Kerr nonlinearity( $\vec{P} = \alpha_1 \vec{E} + \alpha_3 |\vec{E}|^2 \vec{E}$)の形を持ち、棒状誘電体の配列の周期性とその光学的非線形性によりphoton のバンドギャップのなかに光の非線形局在モード(ILM)が形成される。この周期場のなかに別の誘電体の棒を付加、あるいは元の棒を一部取り除く等の操作を行なうことにより光の線路を原理上意のままに制御出来る。このphoton のバンドギャップに現われるILM のいろいろな特性を先ず述べる。電子と比べると、情報の担い手としての光子はその速度とバンド幅の広さ、融通性に優れ、21 世紀の新しい情報通信技術の発展を齎す可能性を秘めている。講演の後半はこのようなphotonic crystal の技術上の応用について述べる。

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同心回転する渦糸対の実験

秦 武史,渡辺慎介(横浜国立大・工)

 我々はこれまで、水中を伝播する渦輪の不安定性がレイノルズ数だけに依るのではなく、周方向に伝わる複数の波に起因している事を明らかにしてきた。本実験では、様々な波数の初期摂動を渦輪に加え、その周上を伝わる波の挙動を観測し、その考えをさらに裏付ける。また摂動を受けた渦輪がどのように変形していくのかを実験的に示す。

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Lax対の空間次元拡張による可積分方程式の高次元化について

小林 匡(京都大・情報), 戸田晃一(富山県立大・工)

Lax対の空間次元を拡張することにより、低次元可積分方程式 (Cylindrical KdV方程式やBurgers方程式等)から高次元可積分方程式を導出する。時間があれば、パンルベテストや厳密解についても述べる。

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A construction of soliton equations on non-commutative spaces

戸田晃一(富山県立大・工)

最近非可換空間におけるソリトン方程式とその可積分性についての研究成果が報告されるようになった。しかしそこで使われている数学は大変難しく, 少なくとも私は理解できない。そこで私がこれまで研究に用いてきた Lax対を構成する方法を非可換空間に応用し、簡単に非可換空間上のソリトン方程式(KdV, MKdV, Burgers方程式やそれらの高次元版等)が構成されることを報告する。なお時間が許せば, 解についても紹介したい。本講演の一部は浜中真志(東大)さんとの共同研究に基づいている。

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摂動的Lie symmetryによる銀河間磁場の時間発展の解析

村田宗一(名古屋大・理)

現在の銀河団で観測される磁場の由来として、初期宇宙で作られた磁場がダークマターに引かれて収縮するプラズマに凍結された結果と考えられている。その時間発展は、重力を含む理想MHD方程式で記述される。これまでの仕事として、ダークマターを重力原とした解析的な計算はCalzetta&Kandusが線形近似ので行われただけである。今回は、磁気圧などの非線形効果まで含めた解析的な計算として摂動的Lie symmetryを用いて摂動解を導出する。

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Dynamics and Bistability in a Reduced Model of the lac Operon: Comparison with Experimental Data

堀家大裕(早稲田大・理工), Necmettin Yildirim (Ataturk Univ.),
Michael C. Mackey (McGill Univ.), 高橋大輔(早稲田大・理工)

分子生物学において、E. Coliに代表される原核生物における遺伝子活性の制御の 1つであるlac遺伝子系の制御機構は、operon modelによって説明される。本研究で は、そのlac operon modelに基づく制御機構をDifferential Delay Equationsによって記述し、その数学モデルの考察を行う。

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可換な Lie 代数構造を持つ可積分な Lotka-Volterra 系

今井健二(大同工業大・教養), 平田吉博(名古屋大・人間情報)

Lie シンメトリーを使って、可積分な Lotka-Volterra (LV) 方程式(ソリトンで有名なタイプではない)を解析する。まず、Ladder タイプ (と我々が勝手に呼んでいる) LV 方程式について、Lie シンメトリーの Lie 代数構造を解析する。次に、その Lie 代数の可換な N-1 次元部分代数から、Ladder タイプを一般化した(新しい?)可積分な N 次元 LV 方程式のクラスを構成する。

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The extended Lotka-Volterra lattice and affine Jacobi varieties of spectral curves

井上 玲(東京大・総合文化)

Beauvilleは、ある行列のゲージ同値類と同型なアフィンJacobi多様体があり、この多様体上の不変ベクトル場は行列が記述する力学系の可換な時間発展を生成することを示した。この同値類の代表元の実現を、拡張されたLotka-Volterra格子(Bogoyavlensky格子)のLax行列が与えることが分かった。代表元のHamiltonian構造を調べ、この関係を応用してモデルを解くことを考える。

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ラプラス変換の連分数展開とパンルヴェ方程式

大平倫宏,中村佳正(京都大・情報)

本報告では, まず, パンルヴェ方程式PII, PIVの解を係数とする連分数とラプラス変換との関連を明らかにし, さらに, パンルヴェ方程式のハミルトニアンと解のベックルント変換を用いた代数的な演算のみでこの連分数が計算できることを示す.

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Garnier 系の Poisson 構造について

鈴木貴雄, 野海正俊 (神戸大・自然科学)

Painlev\'{e}VI 方程式の多変数化である Garnier 系は多項式 Hamiltonian を持つHamilton 系として表現されるが, その Poisson 構造が $2\times2$-matrix からなる Schlesinger 系の Poisson 構造より自然に導かれることを示す.

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周期的Darboux鎖のPoisson構造

高崎金久(京都大・総合人間)

Darboux鎖(dressing鎖とも呼ばれる)はDarboux変換で結ばれた微分作用素の列で、周期的境界条件の下でPainleve方程式の高階拡張になる。この系のPoisson構造が有限戸田格子系のPoisson構造に似た興味ある性質をもつことを説明する。

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流体の不安定による擾乱発達の上限値問題

石岡圭一(東京大・数理科学)

流体の不安定性によって擾乱が発達する際, 実際どこまで発達しうるかという ことは重要な問題である. この講演では, 系の保存量を巧みに組み合わせることによって, 基本場の状態からこの擾乱発達の上限を求める手法を紹介する.

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Davey-Stewartson 方程式系での平面波の安定性

矢嶋 徹(宇都宮大・工),西成活裕(龍谷大・理工)

Davey-Stewartoson I(以下DS)方程式に対してダルブー変換可能性を議論し,これをもとに,DS方程式における平面波の安定性を議論する.余裕があれば,あわせて解の新しいクラスの解の可能性についても考察する.

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cKP方程式の'spider-web solution'について

礒島 伸, ウィロックス・ラルフ, 薩摩順吉(東京大・数理科学)

cKP方程式のN−ソリトン解は、KP方程式のそれよりも多くの項からなり、より複雑な挙動を示す。具体例の紹介を交えながら、どのような解が実現できるのか解析的に議論する。

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Discretization of the coupled nonlinear Schroedinger equation

広田良吾 (早稲田大・理工)

結合型非線形シュレージンガー方程式の差分化と解の表現について話す。

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可積分同次ポテンシャル系のModified KP層の簡約としての解釈と差分化

木村欣司(神戸大・自然科学)

可積分同次ポテンシャル系をModified KP層の簡約として解釈する。また、その解釈とは無関係に差分化し変数分離の離散アナログによって解く。

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非局所的非線形シュレーディンガー方程式の逆散乱法: 厳密に解ける固有値問題

松野好雅(山口大・工)

深い成層流体中を伝播する準単色波の振幅変調の時間発展を記述する非局所的非線形シュレーディンガー方程式の逆散乱法に基づいた固有値問題を解析する。 ここでは特に厳密に解けるポテンシャルの例を示し、対応する固有値、固有関数の性質を議論する。

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変形矢島-及川方程式の相似簡約とパンルベ方程式

菊地哲也(東北大・理), 池田 岳(岡山理科大・理), 筧 三郎 (立教大・理)

矢島-及川方程式は,KP階層のあるリダクションとしてとらえられることが知られている。本講演では,矢島-及川方程式のmodified版の相似簡約化からパンルベV型方程式(の特別な場合)が得られることを示し,そこから得られる特殊解,離散方程式についても議論する。

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離散パンルヴェ方程式の理論: 現状と展望

梶原健司 (九州大・数理)

q-PIV の理論とその拡張,特にq-KP との関連や A_m x A_n 型への拡張に関することを説明する。間に合えばHamiltonian 形式の離散類似についても述べたい。

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$A^{(1)}_5$ 型 Noumi-Yamada 系に付随する特殊多項式

増田 哲(神戸大・自然科学)

$A^{(1)}_5$ 型 Noumi-Yamada 系の有理解を考察し,それらが 3-core の普遍指標で表されることを示す.ここから,一般の $A^{(1)}_{2n-1}$ 型に対する結果を予想するのは容易である.

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$R_{II}$有理関数系と$R_{II}$ chainについて

向平敦史 (京都大・情報)

R_{II} chainはR_{II}有理関数系のスペクトル変換を通じてSpiridonov-Zhedanovによって導出されたが,可積分系としての構造は不明な点が多い.本講演ではR_{II} chainが可積分系の枠組みでとらえられることを示し,それによる2,3の結果について述べる.

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超離散QRT系と扇について

野邊 厚(東京大・数理科学)

二次元の離散可積分系であるQRT系は、ある条件のもとで保存量も含めて超離散化可能である.超離散QRT系の時間発展は可逆な区分的アフィン変換で与えられ、保存量の定める不変曲線は凸多角形となる.この凸多角形は扇と対応付けられ,扇への作用を調べることにより解の周期などが求められる.

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区分線形写像力学系に対する可積分系理論からのアプローチT

高橋大輔, 岩尾昌央, 広田良吾 (早稲田大・理工)

区分線形関数を利用した写像力学系について,線形に帰着する再帰型のもの,非線形であるが保存量を有する可積分型のものなど,きわめて構造のよい系について具体例をあげてそのメカニズムについて検証する.

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区分線形写像力学系に対する可積分系理論からのアプローチU

岩尾昌央, 高橋大輔, 広田良吾 (早稲田大・理工)

Tで述べた力学系に統一的な代数構造が潜んでいることが我々の研究により明らかになりつつある.これについて,基礎となる数学的背景をも含めて詳しく解説を行う.



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